子どもが作る“弁当の日”とは?

What is “Bento no hi”?

2001年(平13)、香川県・滝宮小学校で当時の校長(竹下和男)がスタートさせた食育実践。

ルールは3つ。

①献立・買い出し・調理・弁当箱詰め・片づけまでを子どもだけにさせるため「親は手伝わないで」と訴えている。

②5・6年生のみが対象。

③10〜2月に月1回で計5回繰り返す。

5年生になるのが待ち遠しかった子どもたち(滝宮小)

“弁当の日”には5・6年生が自宅で作った弁当を持参し、1〜4年生は給食を食べる。

弁当づくりの知識・技術の基本は家庭科の授業で教えた。

「包丁を持たせていない」「ガスコンロにさわらせていない」「早起きができない」と反対する親はいた。

教員は本来の職務内容を超えた提案にあまり乗り気ではなかった。

ランチルームで下級生にのぞかれるのも誇らしい(滝宮小)

4月のPTA総会で保護者に提案していたが、「弁当は親が作るもの」という意識が児童と親の双方に根強くあり、10月に実施した1回目で親にまったく手伝ってもらわなかった児童はほとんどいなかったようだ。

それでも弁当箱をあけて自作のおかずを自慢げに説明する子どもたちの笑顔が朝から教室にあふれた。

そして、お昼のランチルームでは4年生以下の児童からうらやましがられながら、全員が美味しそうに完食した。

●左写真:「これで足る チェックしてきた」 冷蔵庫(国分寺中)
●右写真:祖母が栽培した野菜で郷土料理に挑戦(国分寺中・「100年未来の家族へ」から)

2回目以降、児童は自立を目指してスーパーやコンビニの弁当を観察するようになった。

料理本をながめ、日常の買い出しも親に同行し、台所に立ち、調理の仕方を質問し、練習した。

親は「親子の会話」が増えたことと子どもの成長を喜び、子どもは親への感謝の気持ちをふくらませた。

そして、“弁当の日”5回目には全部自分で作る方が当たり前になってきた。

「口も手も 出さなかった母 ありがとう」(滝宮小・「100年未来の家族へ」から)

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